左:川部高志さん(人事課サブマネージャー)
右:佐藤暉さん(横浜第一工事部)
創業から110年以上の歴史を持ち、「修繕工事」の分野で成長を続けてきた株式会社ヨコソー。労働時間の上限規定が建設業にも適用されることを見据え、より働きやすく、より効率的に業務を遂行するための改革を進めてきました。改革のさなかに認定を受けたユースエールの効果や、企業風土について、人事課サブマネージャーの川部高志さんと、入社3年目の佐藤暉(ひかる)さんに聞きました。
- 人事課サブマネージャーの川部高志さんに聞きました
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━はじめに事業内容と会社概要を教えてください
マンションなどの集合住宅を中心に、大規模修繕(外壁の補修や塗装、防水工事などの修繕)工事をおこなっています。1908年に創業した地でもある横須賀に本社を構え、関東に7つの事業所を有しています。2000年代初めには国土交通省が修繕工事に関するガイドラインを出すなど大規模修繕の必要性が高まるにつれ会社の規模は大きくなっていきました。創業100周年に当たる2008年は50人程度だった従業員数が今では200人近くになっています。
━ずっと修繕工事を担ってこられたのでしょうか
創業時は、海軍宿舎の塗装工事から事業がスタートしました。高度経済成長期には集合住宅の新築塗装工事を請け負うようになり、電波塔の塗装など、公共性の高い仕事も受注していました。1970~1980年代になると、マンションの建設ラッシュを目にした創業者の孫に当たる3代目社長が「これからは改修する仕事が必要になる」と判断し、新築工事をやめ、改修塗装事業に切り替えました。社内では反対もあったようですが、結果、バブルがはじけて多くの建設業が立ち行かなくなる中、改修工事にスイッチしていたため安定した経営を維持することができました。
━会社の強みを教えてください
「ヨコソールール」と呼ばれる非常に厳しい基準で品質や安全性を担保しているところが強みになっていると思います。工事が終わったときにキレイ見せることは簡単ですが、大事なのは5年、10年と時間がたったときに維持できているかどうかです。定期的な点検とアフターメンテナンスとして点検と必要な個所は補修工事をおこなっていますが、ヨコソーでは1年目は必ず工事担当者が現場に行くルールになっています。そうすることで1年後に自身の仕事の出来栄えを確認すると共に、工事からアフターメンテナンスまで一貫して任仕事に取り組めるようになると思っています。「しっかり、まじめに、誠実に。」をモットーとしていますが、愚直に仕事に向き合ってきたことが信頼・信用につながっていると思います。
━2019年にユースエールの認定を受けていますが、取得のきっかけを教えてください
ユースエール認定制度を知ったのは、労働局の担当者から取得を促されたのがきっかけでした。新卒メインで採用しているのですが、施工会社は資格も必要ですし、「建築を学んだ人でないと入れない」と思われているほど、入社ハードルが高い業界だと思っています。客観的にみて「いい会社」だということがわかれば、手を上げる人が増えるんじゃないか。そのように考えていた際にユースエール認定制度を紹介してもらったので、取得しようと決めました。その後も、最大126万円の奨学金返済支援といった若い人たちが安心して働けるような制度を構築しています。
━認定を受けてよかったことはありますか
若い従業員に話を聞くと、親御さんがユースエールの紹介チラシを見て「この会社にしたらいいんじゃない?」と言ってくれることもあるようです。また、塗装職人として高卒の求人を定期的に出していますが、高校生の場合、進路は学校の先生の影響を大きく受けます。本人たちが制度を知らなくても、周りの大人が制度を知って、勧めてくれる。そのような影響は感じています。
━労務管理やルール作りにおいてどのようなことに取り組まれましたか
人事担当者として、給与改定も含めて生産性を高める取り組みは2024年4月を見据えて進めてきました。まず取り組んだのは労働時間を減らす仕組み作りです。時間外労働を減らすため、直行直帰を推奨しているほか、書類の押印のためだけにオフィスに戻らなくて済むようにDX化も進めました。さらに定時退社(17時)を推奨し、原則的には20時以降の残業は禁止しています。最初は困惑する声もありましたが、徐々に慣れて「意外とどうにかなるな」と思ってもらえました。
━人材育成で注力していることを教えてください
社外リソースをうまく使うことを意識しています。例えば、今の若い人の中にはスマホに慣れてしまっていてパソコンでの作業が苦手な人もいます。受験料を全額負担してMOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)の資格を研修期間中に取ってもらうルールにしました。そうすることで配属後にイチから教えなくて済みます。さらに、研修期間には資格学校に週1回通ってもらい、施工管理会社では必須となる2級施工管理技士という資格を取得してもらいます。その費用も全額会社が負担しています。
━最後に入社を希望する若い人にメッセージをお願いします
今の時代は先行き不透明で、不安な就職活動になっていると思います。その中では、自分で意思決定をすること、そのために客観的な情報を得ることが大切です。正しい情報を見極めるためのツールとして、ユースエールなどの客観的な認定なども見ながら、どんな会社で活躍したいか判断してほしいです。これからの時代、さまざまな考え方を持った人たちを受け入れ、活躍してもらえる会社が生き残っていけると思います。ヨコソーはそのようなカルチャーや制度を構築していきたいと思っています。
- 2022年新卒入社の佐藤暉さんに聞きました
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━入社を希望した理由を教えてください
大学3年生の時がちょうどコロナ禍で、バイトも学校も行けず、誰とも話せない状況でした。「この時間がもったいないな」と思っていたときに、建築学生向けの合同説明会で、修繕工事は人が住んでいる状況で作業を行うため、居住者と良い関係を築くことが非常に大切だと知り、立ち飲み屋のアルバイトで培ったコミュニケーション力が活かせると思い、希望しました。
━今の仕事の内容を教えてください
現場監督として、足場を組み立ててから解体するまでの工程を管理しています。安全や品質を担保した上で工期内に完成させることが主な役割です。予算管理もしているので、工事で使用する材料の計算や、1日に何人の職人さんを稼働させるかなどを考えて、利益を出せるように計画しています。
━やりがいを感じる瞬間はどのようなときですか
やはり足場を解体したときに、外観も機能もきれいに仕上がったマンションが見えたときです。工事の前後で記録用にたくさん写真を撮るのですが、そのビフォーアフターを見比べたときにやりがいを感じます。また、お客様に竣工後のアンケートをとるのですが、自由記述欄に感謝のコメントが書かれているのを見ると、「やってよかったな」と思います。
━会社のいいところを教えてください
研修を終えて現場に出ると、大きな裁量があって自由にやりたいことをやれるのがいいところです。直行直帰が基本なので、「まだ上司がオフィスにいるから帰れない」というようなこともありません。早く帰りたいときは午後5時半ごろに帰るときもありますし、現場を見ながら自分の時間の使い方も意識するようになり、時間管理の仕方が上手になったかなと思います。
━今後の目標を教えてください
まず、近い目標では施工管理技士1級の資格を取りたいです。また、段々現場に慣れてきたので、うまく回すだけではなくて、お客様にご満足いただいた上でもっと利益を出していけるようになりたいと思っています。「無料」と言うと喜んでくださるお客様は多いですが、費用を出してもやってほしいと思ってもらえるような工事をやりたいです。そのような提案をしてもなかなか通らないのですが、今後も試行錯誤して、よりよいものを提供していければと思っています。
━最後に、入社を考えている若い方へのメッセージをお願いします
「建設業」と聞くと、どうしても「長時間残業」や「早朝深夜勤務」のイメージを抱く人が多いと思います。僕自身、就活をしていた当時はその印象がありました。ただ、ヨコソーでは、自身の裁量で仕事を進めていくため、早く帰りたいときは帰れるし、休みたいときには休める環境が整っています。裁量が大きい分、大変なこともありますが、、それを上回る成長実感や、住人さんからの感謝の声を多くいただけますので、仕事や業界の印象だけではなく、具体的な仕事内容や働く環境などを自身で理解した上で、入社する企業を選んで欲しいですね。