「ユースエール認定企業」インタビュー

  • 製造業
  • 2018.1.31

株式会社ステンレスアート

代表取締役 新崎博様



認定企業の事業内容
―御社の事業内容をお聞かせください。

当社は金属加工とアクリル加工をメインとして看板、ディスプレイ、建築金物を製造しております。

当社で製造いたしました看板・ディスプレイは街でよく見かけることができます。例えば、銀座から越谷の商店街まで、全国いたるところにあり、だいたい私どものような業界で作っているのです。


―取引先はどのようなところですか。

個人のお客様はほとんどなく、B to B(Business to Business:企業間取引)になります。主要取引先は広告代理店や工務店、建築会社、電気工事会社、デザイン会社などです。電気工事会社では光る部分は作れるのですが、加工ができないため、当社に依頼がきます。


―最近の受注の傾向はどんなものでしょうか。

最近、よく受注するのは、鉄骨と鉄の板材で箱を作って、板材の文字の部分をレーザーで抜いて、裏からアクリル板を貼って光らせるというものです。

こうしたものを一つひとつオーダーメイドで作ります。チェーン店の看板でも、郊外店のものとビルのテナントのものは違いますし、同じ店舗でも設置する場所によってサイズも違いますので、同じものを二つ作ることはほとんどありません。大量生産ができませんので、だからこそ大手のいない業界なのです。


―看板以外のものはありますか。

看板以外のものですと、商品ディスプレイがあります。例えば、アクリルの商品ケースや、文具売り場の大量に刺せるペン立てなど。

また、駅や商業施設などのイベントの飾りやクリスマスツリーの支柱なども、私どものところに発注が来ます。

また、看板ではありませんが、ビルや商業施設、公共施設におけるサイン(案内板など)も、私どもで扱っております。




ユースエール認定の取得理由
―ユースエール認定の取得理由をお聞かせください。

まず求人のアピールのために、厚生労働省の若者応援宣言企業の宣言を行いました。その後ユースエールにチャレンジしてみようということで認定の申請をしました。


―ユースエール認定にはどうして取り組もうと思われたのですか。

製造業や建築業は労働環境が整っていないのが当たり前の業種でしたから、そこを払拭したいと思いまして、取り組んだところもあります。

4年ほど前に女子社員が入社したこともあって、労働環境を変えなければいけないと思っていました。それまでは男社会の製造業で普通だと思っていたことも、女性の視点で見ますと駄目なところも見えてきます。そういうところを改善していきました。

また世の中の流れも、ブラック企業という言葉ができて、ブラックな業界に対しての風当たりが強まっています。以前は当たり前だったことが通用しません。若者を採用して、会社を成長させようと思っていても、ブラックなイメージがありますと若者が近寄ってきてくれません。そういう危機感もあって、労働環境を変えなければという思いから、ユースエールを目指せば、アピールになると思いました。


―ユースエール認定に対して何か努力されましたか。

ユースエールの取得のために改善したというわけではありませんが、もともと雇用管理の状況を改善しようと取り組んでいました。改善には基準がないと、どのくらい達成しているのか把握することがなかなか難しいものです。ユースエール認定は、ハードルも高く、とてもいい基準になると思いました。



ユースエール認定取得の効果
―ユースエール認定取得による効果は何かありますか。

社内的には、非常に効果があったと思っています。

ユースエールは基準にもなりますし、認定取得という目に見える形で成果が残ることが非常に良かったです。

社員に対して、ただ「労働環境がよくなった」と言っても比較対象がないので伝わらない部分が大きいですが、「ユースエール認定を取得した」と言いますと、自分の会社が良くなったことを再認識してくれますし、誇りに思うことができます。


―外部へのアピールで何か効果はありましたか。

世間的な認知度がまだそれほど高くないこともありますが、逆にそれを利用してアピールポイントに使っています。「ウチはユースエールを取得しています」と言って「なんですか?」とよく聞かれます。その際、そんなに簡単に取得できるものではないことを説明し、ワークライフ・バランスや働き方改革のさらに先をいっている会社だということをアピールしています。


―今後、ユースエールへの期待は何かありますか。

今後、ユースエールの認知度がもっと上がり、世間的に知られるようになっても、そのハードルは下げないでいただきたいです。基準が高いからこそ、認定取得に価値があり、世間に対して誇ることができます。

大事なのは、「ユースエール」という名前ではなく、中身、労働環境を整えている企業でないと取得できないということが大事だと思います。

私たちも来年、ユースエールの認定基準に苦しめられるかもしれませんが、取得したことを誇りに思うため、アピールするためにも、ぜひ認定基準を維持していただきたいです。




雇用管理や人材育成
―雇用管理や人材育成で注力していることはありますか。

当社のようなオーダーメイドの製造業では、職人気質の技術伝承が行われています。若い人の定着率を上げるには、「自分がそうやって教わったから」という経験則だけでは駄目で、きちんと頭で理解して納得してもらう指導をするようにしています。


―ほかに注力していることはありますか。

ほかに注力しているのは、正しい評価です。昔、仕事のできる人間ほど辞めていくということがありました。そこで正しい評価をするよう努めました。

評価のよくない人に対しては、どこがよくないかをきちんと説明し、どうしたら改善できるか一緒に考えていくようにしています。


―人材育成についてはいかがですか。

かつては、理由もわからずに辞めていく若い人がかなりいました。そこで、メンター制度とまではいきませんが、ブラザー&シスター制度を作りました。新人ごとに、先輩社員がついて指導をしています。月に一度は一緒に食事をして、何でも話せるような空気を作っています。はじめは何にも話さなかったり、文句も出たりしましたが、会社の方針ということで回数を重ねるうちに本音を話してくれるようになって、改善点も見つかってきましたね。


―資格取得などについてはいかがですか。

溶接などの作業には資格が必要です。ポジションによっても違いますが、5~10の資格は取得しなければいけませんので、会社が取得のために時間や費用などをバックアップしています。当社はコンプライアンスを重視していますので、無資格者に作業はさせません。資格を取ることで本人にやる気も生まれますので、社員が資格取得できるような体制を作り、臨んでいます。


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