「ユースエール認定企業」インタビュー

  • 製造業
  • 2020.04.24
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兵庫県加東市に本社を構える「株式会社大西コルク工業所」は、2020年で創業92年を迎える老舗企業。発泡スチロールやプラスチック成形のパイオニアとして、緩衝材や断熱材、家電部品などさまざまな製品製造を担っています。ここ数年では代表取締役社長の交代を機に、企業としてのさらなる付加価値の向上と福利厚生の充実を目指しており、その1つとして2019年5月に「ユースエール認定」を取得。現在、社内に新たな風が吹き始めている様子やその取り組みについて、代表取締役社長の大西さんにお話を伺いました。さらに入社1年目の前羽さんには若手の代表として、やりがいや現場の様子などのリアルな声を聞かせていただきました。

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大西洋輔さん(代表取締役社長)


―はじめに、事業内容を教えてください。

発泡スチロールやプラスチック製品の製造と販売です。創設当初は炭化コルクの製造を行っていましたが、時代の変遷とともに製造内容もシフトしました。意外と知られていませんが、発泡スチロールの用途は一般家庭で目にする食材の容器、家電梱包用資材だけではありません。実は建築用断熱材や高速道路のような土木現場の盛土など工業用にも使用されていて、用途の幅はとても広いんです。このようにサイズや形、強度が大きく異なるものすべての製造に対応できる規模と技術力があるのは、全国の同業社の中でも限られています。ですから、当社の開発・製造力は多くのお客さまから厚い信頼をいただいています。現在は、プラスチックも含め自社で持つ工場2つの他、協力工場と連携して生産ネットワークを整備しています。


―他に会社としての強みはありますか?

品質や満足度の向上、環境への取り組み、働きやすい環境の整備に力を入れています。実績を可視化するためにもISO9001やJIS、ISO14001など、数々の認証を取得してきました。働きやすさという面では、当社独自の手当制度が社員に好評です。例えば、ICカードによる食事補助制度、就職3カ月目から有給取得を可能にする制度、タバコを吸わない社員への手当支給などがあり、形ではなく価値のある制度を設けるように心がけています。もちろん、既存制度の取得率アップも重要視していて、現在は産休・育休の取得率が100%、有給取得率は79%といった結果です。

大西コルク03 大西コルク04 ―ユースエール認定を取得しようと思ったきっかけを教えてください。

求人にはいつも苦戦をしていました。限られた情報しか載せられない、求人票たった1枚、2枚で同地域の企業と差別化を図ることに限界を感じていたんです。そこで働きやすい企業だと認識してもらうためにも、厚生労働省や県から何か認定を得られないかと探している中でユースエールを知りました。調べていくうちに、これなら弊社でも取得できるかもしれない、そして有給取得の義務化を見越して早い段階から高い基準を目指して取り組んだほうがいい、と思い取得に踏み切りました。


―ユースエール認定を取得する上で苦労したことはありますか?

ほとんど問題なく進めましたが、一部の部署では有給取得を進めるために計画的に製造を止めて最終調整を行いました。また、社員の一部では皆勤することに固執してしまう古き良き価値観が残っていましたが、ユースエール取得の条件(基準値の有給消化)について話したことをきっかけに、少しずつ働き方への意識が変わっていきました。なかには「休みを取るより、仕事がしたい」というベテラン社員もいましたが、現在では前向きに有給を取ってくれています(笑)。

大西コルク05 ―ユースエール認定を取得してメリットはありましたか?

ハローワークでは、管轄内で最初の取得企業だったこともあって積極的に弊社を紹介してくれていると感じます。そして一番効果を実感したのは、高卒求人の反応ですね。例年、職場見学者は1名来るかどうかという状況だったところが、取得直後に2桁まで伸びたのには驚きでした。現場の社員も驚いて、「本当に入社するのかな?」とみんなが冗談っぽく心配をしていました(笑)。実際には、例年の倍以上の人数を採用することができてホッとしています。この取得をきっかけに働きやすい環境への意識改革が進み、社員にとってもメリットになっていると思います。

大西コルク06 ―仕事で大切だと思うことや採用のポイントを教えてください。

製造業は黙々と作業するものと思われる方もいらっしゃいますが、実際のところはスタッフ同士の連携や気配りがより良い業務に繋がっています。ですので、コミュニケーションを取ることを嫌がらず、主体的に業務に取り組む方に来ていただきたいと思っています。

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前羽芽依さん(2019年入社)


若手社員に聞いてみました
―入社のきっかけを教えてください。

この近くの出身で、普通科の高校に通っていました。自分の適性などから、検査や梱包の仕事ができる地元企業に就職したいなと考えていたので、ここに決めました。


―入社してみて、実際にいかがでしたか?

最初の研修では2週間ずつ各職場をまわりました。その中でさまざまなことを学び、今の職場に配属されることになりました。社員のみなさんが親しみやすく、不慣れな私にも優しく丁寧に教えてくれます。

業務は定時の17時に終わることがほとんどです。さらに新人でも有給が取りやすい環境を整えてくれているので、仕事外の時間も充実させることができて満足しています。あと私がよく活用しているのは、ICカードでの食事補助制度です。コンビニを始め、いろいろなお店で食事や食材購入にも使うことができるので、とても助かっています。私たちにとっても、会社がユースエールなどの認定を積極的に取得していることは「社員の働きやすさを考えてくれている」というプラスのイメージになっています。


―お仕事はどんな内容からスタートしましたか?

私の勤める工場は発泡スチロールの製造部門です。出来上がってくるさまざまな製品の仕上がり検査と梱包を担当しています。最近、フォークリフトの講習にも参加させてもらったので、今は運転をしながら少しずつ製品も運んでいます。

大西コルク08 ―お仕事をしていて、どんな時にやりがいを感じるのでしょうか?

業務での成長を感じられたときです。検査などの日々の作業でもスピードが上がってスムーズに進行できた時は達成感があります。今は入社した頃に比べて、少しずつ効率よく作業できていると思います。今挑戦しているフォークリフトはまだまだ難しくて……。製品によって持ち上げ方や操作が変わってくるので、もっと早く運べるように慣れていきたいです。このような新しいことへのチャレンジは緊張しますが、いつも周りの先輩方がフォローしてくれるので、安心して業務に取り組むことができています。

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