「ユースエール認定企業」インタビュー

  • 医療・福祉
  • 2019.5.31

右:田中實さん(理事長) 左:森結花さん(2017年入会)


香川県の中部に位置し、古くは海上・陸上交通の要所として栄えた歴史ある街、多度津。その多度津の街に暮らす高齢者の方々に大きな安心を提供しているのが、多度津福祉会様です。今回は、同福祉会様が運営する特別養護老人ホームを訪ね、理事長を務める田中實さんと入会2年目の森結花さんにインタビュー。社会福祉法人としての歴史や強み、ユースエール認定を受けることになった経緯、さらには同福祉会様で働く魅力などについて語ってもらいました。



理事長に聞きました
―はじめに、多度津福祉会様の成り立ちや事業について詳しく教えてください。

当法人は、地域住民のご要望により、昭和52年7月に発足。以来、この地域の高齢者が安心して暮らせるよう、およそ40年にわたり、高齢者福祉事業に取り組んできました。現在は、事業の主体となっております特別養護老人ホームと併設する形でデイサービスセンターと短期入所施設、老人介護支援センターを運営。特別養護老人ホーム「桃陵苑」では2016年に建て替え工事を行い、共同の暮らしを主とする従来型の30床に加え、一人ひとりに対して個室ケアを行えるユニット型の60床も増床しました。


―社会福祉法人としての強みは何ですか?

最大の強みは、人です。66名の介護職員のうち、57名が介護福祉士の国家資格を有しております。また、勤続年数が正社員で10.3年、臨時職員でも8.5年と長いことも大きな特長ではないでしょうか。利用者の皆さんにとっても大きな安心材料の一つだと思います。



―ユースエールを取得するきっかけを教えてください。

ハローワークの担当者様からユースエールの話を聞いたのは、およそ4年前。認定を受けるための確認作業を行うことで、改めて当社の採用実績や定着状況、残業や有給に関する数字、休暇制度、人材育成の充実度など、様々な労働環境を見直すきっかけになるのではと考えました。また、取得することで、職場の良さを再認識し、自分たちの職場により誇りを持つことができればと思ったのです。


―実際には、どのような効果がありましたか?

取得にあたっては、特に採用活動での効果を意識していたわけではなかったのですが、創立40周年に向けた施設の建て替え時期がちょうど重なったこともあり、職員の大幅な増員を行う必要がありました。そうした状況の中、ハローワーク様も「県内で2番目にユースエール認定を取得した企業」といったフレコミで積極的にPRしてくださいましたし、私たちもユースエールを入口にしながら詳細な企業情報や採用情報を伝えた結果、予定人数を無事に採用することができました。職員の採用ができず、施設を運営できなくなる社会福祉法人もある時代ですから、本当に良かったと思います。


―ちなみに、入会後の若手社員に対して、育成などで心がけていることは?

人材育成では、各職場の新人教育担当の職員を中心に指導を行っています。また、外部の教育研修などにも積極的に参加を促すなど、育成には力を入れていると思います。一人ひとりの職員が専門性を高め、その能力を存分に発揮してほしいですからね。日々の仕事に追われるのではなく、自分で将来のキャリアや成長を思い描けるような職場にしたいですね。



―有給制度など、働く環境づくりに関してはどうですか?

じつは、2年前から「リフレッシュ休暇」という名前の健康管理休暇を導入しました。導入前は責任感の強い職員から「そんなに長く休んだら、施設が回りません」といった声もありましたが、「とにかく、みんなで、やってみよう」と実施したところ、意外とスムーズに休みを取ることができました。2年目に入ると「今年もリフレッシュ休暇はあるんですよね?」といった声も上がるほどです(笑)。正直、現在の介護の現場は、昔と比べて難易度も、職員の負担も大きいと思います。だからこそ、通常の休みに加えて、仕事からまったく離れる時間も必要なのではと思ったのです。この取り組みは続けていきたいですね。


―最後に、若手へのメッセージとユースエール取得に関するアドバイスをお願いします。

高齢の利用者の皆さんは、若い人たちと話すのが大好きです。職場としても、様々な世代の人たちが活躍している環境の方が魅力的。ぜひ、一緒に地域に欠かせない、地域に開かれた施設を作り上げていきましょう。また、ユースエールの取得に関しては、繰り返しになりますが、法人全体の職場環境・労務管理などを見直す良い機会です。事業者としては職員が意欲を持って働き続けることができる要因を探すことができ、職員の確保と定着に向けた改善を行うことができるのではないでしょうか。




若手社員に聞きました。
―多度津福祉会に入会を志望した理由を教えてください

そもそも、私の祖父が体調を崩して自宅での生活が困難になり、老人ホームに入所することになりました。でも面会に行くと、祖父は一人の職員さんと明るく笑顔で楽しそうに話していたんです。その光景を見て、私もこういう介護福祉士になりたいと思い、まずは資格が取れる専門学校に通いました。多度津福祉会との出会いは、学校の実習です。職場の雰囲気が良かったことと、同福祉会の理念である「利用者の尊厳を守り、快適で安心・信頼を託される」「地域との共生を意識し、地域に開かれた施設とする」という言葉に共感し、志望しました。


―現在はどのような仕事をしているのですか?

介護職員として利用者さんがその人らしい生活を送れるよう、食事介助や排泄介助、入浴介助といった身体介護に加え、清掃、洗濯といった身の回りの介助をしています。仕事をする中で大変なこともありますが、自分との関わりで利用者さんの笑顔が見られたり、「ありがとう」や「あなたで良かった」という言葉を聞けたりした時はやりがいを感じますね。たとえば、耳の不自由な利用者さんのために、毎朝、ベッド脇のホワイトボードに「おはよう」と書き込んでおくと、次に私が訪れた時に「おはよう」と返してくれるのです。こうした一つひとつのやり取りの中で繋がりを感じられるのはうれしいですね。また、これまで様々な人生経験をしてきた利用者さんから、料理の配膳の仕方やお茶の正しい淹れ方など、たくさんのことを学べるのも、この仕事の面白さ。自分自身の成長を感じられる職場です。


―では、働く環境として気に入っているところは?

ひとつは、人間関係。入会当初はずっと、先輩職員が付いてくださり、私が理解するまで何度も優しく丁寧に指導してくださいました。私自身も働いてみて感じたのですが、仕事をする上で人間関係は本当に大切。その点、この職場はとても働きやすいと思います。そして、もうひとつはリフレッシュ休暇。介護職員は連休が取りにくいイメージがありますが、ここでは年1回のリフレッシュ休暇で連休を取ることができるため、私は1年目も2年目も行きたかった場所に、行きたかった人たちと旅行をすることができました!



―最後に、今後の目標と就職活動中の学生にアドバイスをいただけますか。

介護職員として、私自身はまだまだ学ぶことがたくさんあります。日々の仕事の中で常に笑顔で利用者さんと関わり、利用者さんの小さな変化にも気づける介護福祉士を目指して成長していきたいですね。あと、アドバイスになるかどうかわかりませんが、介護の仕事に対して「大変」「きつい」といったマイナスのイメージを持っている人もいるかと思いますが、実際に働いてみるとそれ以上に大きなやりがいや喜びがあります。利用者さんの笑顔や「ありがとう」の一言は何にも代えがたい宝物です。


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