左:武田速三さん(取締役第2製造部部長兼工場長兼生産管理部長) 右:本多史佳さん(2010年入社)
高知県西部に工場を構えるタイム技研高知株式会社様は、電気給湯器エコキュートなどに使用される電磁弁つきフローセンサーで全国シェアの70%を誇るなど、主にバルブ機器の製造などを行っている会社です。また、自然豊かな緑の中に現れる黒色の工場の外観はスマートの一言。製品の品質とともに、働く環境づくりも高く評価されています。今回は、この高知工場の立ち上げから関わり、現在取締役も務める工場長の武田速三さんと、総務部の本多史佳さんの2名にインタビュー。ユースエール取得までの経緯や職場環境の魅力について語ってもらいました。
- 工場長に聞きました
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―はじめに、タイム技研の事業内容や特長について教えてください。
タイム技研はもともとガス製品のバルブの製造を行っていましたが、今から約25年前に水製品のバルブ業界にも進出しました。当時の高知工場は設立して間もない頃だったため製造は愛知県の工場で行っていましたが、今では水製品のすべてを高知工場で製造しています。主な製品はエコキュートに使用される様々なバルブや手洗い場のセンサー。最近ではウォーターサーバーの制御バルブにも携わっています。我々の強みは製品の品質とその製品を組み立てる工場の品質。建物内の温度管理やゴミホコリのない環境整備は徹底しています。工場見学に訪れる他メーカーの方からもよく、「素晴らしい環境ですね」とおほめいただいていますね。これは製品の品質のためでもありますが、一番は働く人のため。会長は昔から「良い工場に、良い人が集まる」ということを繰り返し話されています。
―ユースエール認定を取得しようと思ったきっかけは何ですか?
きっかけは、ハローワークの方に教えてもらったこと。毎年新卒は2~3人採用しているのですが、できればもう少し多くの人に来てもらいたいと思っていました。そこで、ユースエール認定によって採用活動をより良くできるならと考え、2018年6月に取得しました。高知県でユースエール認定を取得している企業は多くないので、採用活動でユースエールの取得をアピールするようにしています。
―ユースエール認定を取得する上で苦労したことなどはありますか?
資料作りは苦労しましたね。ただ、その過程で会社の現状を知ることができたのは良かったと思います。当社の場合、残業日数や有給消化率の条件をクリアすること自体は難しくなかったので、結果的に自分たちの会社の働きやすさに気づくことができました。認定マークのおかげで、高校の先生たちにも安心して生徒に紹介できる会社だというイメージを強く持っていただけた点も良かったですね。
―この会社で働くことで得られるやりがいや魅力を教えてください。
工場の配属になると、製品の組み立てを任され、ある程度の技量がつくと検査員になり、そこでようやく一人で作業することができるようになります。組み立てはできる人とできない人の差が大きく出るのですが、逆に言えば習熟度や勤続年数、性別に関係なく資質があれば若いうちから結果を出すことができます。品質は査定に反映されるので、働く上でのやりがいになると思いますね。また、勉強会や他社の工場見学などの機会も提供しています。やる気さえあればスキルアップしていけることは我が社の魅力の1つです。
―働きやすい環境づくりの面で取り組んでいることはありますか?
実は約20年前から、安心して子育てできる環境づくりに取り組んでいます。産休・育休を取っている人は常にいて、今は4人が取得していますね。工場は立ち仕事なので、妊娠がわかった時点で椅子を出すようにして業務を軽減しています。他の会社の方からは結構驚かれますね。昔は寿退社される方も大勢いましたが、会社としては技能を持った人には長く働いて欲しいと思っています。やっぱり、人が大切ですからね。
―最後に、これから入社してくる若者にメッセージをお願いします。
女性は役職になりにくいのではないかと思われるかもしれませんが、我が社では現場でリーダーシップが取れる人、それなりの知識と技量を身につけた人は管理者や幹部になっています。今回、若手社員として紹介する本多さんもその一人。ものすごく責任感がありますし勘もいいので、1から10まで言わなくても察して仕事を仕上げてくれています。若い方が一生懸命に仕事に向かっている姿は、社内の活気につながっていますね。現在高知工場では150人を雇用していますが、今後は200名を目指し、将来的には建屋も1棟増やす予定です。工場創設時にはたった15名の社員しかいませんでしたが、みんなで工場を作り上げた結果、今これだけのものになりました。次の世代の方々にも自分たちの職場をみんなで作るという意気込みで、どんどん新しいことに取り組んでいって欲しいですね。
- 若手社員に聞きました
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―この会社に入社しようと思ったきっかけは?
高校の授業の一環で企業見学があり、何社か回ったうちの1社がここでした。働いている人の数が多くてびっくりしたのと、すごくきれいな会社というのが第一印象でした。高校卒業後は公務員の専門学校へ。公務員志望でしたが同時に就職活動もしていて、企業見学のことを思い出し応募しました。入社前は漠然とした不安を抱えていましたが、入ってすぐ解消されましたね。ミスも多かったのですが先輩の「最初はみんなできんけん」という言葉に救われました。周りの先輩方にすごくサポートしていただきましたね。
―現在の仕事内容とやりがいを教えてください。
入社時から今の部署で働いています。最初簡単な事務処理から始まり、慣れてくると従業員150名分の勤怠管理や給与計算、入退社の手続きなどを任されました。慣れるまでは時間がかかりましたね。たとえば毎日の通勤とか、社会人の生活リズムにも慣れるまでは大変でした。今の立場は職能資格者と言って、一般の社員の方よりワンランク上の立場です。たとえば新しく入ってきた方に規則の指導を行なったり、高校生達の工場見学の際には案内することを任されます。他部署の人との関わりが多いので、工場内で働く人が少しでも楽になれるサポートができることはやりがいの一つ。ラインの組み立てが忙しい時には応援に行くこともありますが、総務の仕事とはちがう難しさがあると感じます。しかし、こうした応援業務を経験するからこそ、よりサポートしたいと思いますね。自分の働きぶりを見てくれる人は必ずいるので、そういう人たちから「助かるよ」と言ってもらえると嬉しいです。
―この会社で働く魅力と、今後の目標を教えてください。
働く人のことを一番に考えているところが、ここで働く魅力だと思います。クリーンな環境ですし、成長を応援してくれる風土もあります。ユースエール認定についても、働く前に不安を感じなくていいから安心ですよね。資料に載せるデータの集計や有給の奨励など業務としてユースエール認定に関わっていたのですが、会社側から有給推奨があれば従業員の人も休みやすいですよね。忙しい時期の有給の奨励は心苦しい場面もありましたが、結果的に会社にとって良い事だったと思います。今後の目標は、頼り甲斐のある人になること。入社した時にサポートしてくれた上司や先輩のように、自分も頼り甲斐のある先輩になりたいですね。
―最後に、就職・転職を考えている若い人たちに一言いただけますか?
初めは「働いてみたいな」「いいな」という感覚で、いろいろな会社に足を運ぶと良いと思います。話を聞いていれば働きたいと思う会社はきっとあるはず。初めはなんとなくでもかまいません。大切なのは、決めすぎず広い視野を持つ事だと思いますよ。