「ユースエール認定企業」インタビュー

  • サービス業(他に分類されないもの)
  • 2022.03.28
四万林業協業組合画像1

左:蓑輪真大さん(2021年入社)
中央:宇敷孝夫さん(代表理事)
右:飯塚実さん(常務理事)


群馬県中之条町にある四万林業協業組合は、丸太を生産する従業員20人の事業所です。ベテラン作業員の退職を機に若者を迎え入れようと、2019年度にユースエールの認定を受けました。それ以来、高校などから職場見学の問い合わせが入り、高卒者を採用するなど、組織の若返りを進めています。宇敷孝夫代表理事と飯塚実常務理事にユースエール認定取得のきっかけや効果などを、蓑輪真大さんには林業の仕事を選んだ理由などについてうかがいました。


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宇敷代表理事と飯塚常務理事に聞きました
━はじめに、事業内容を教えてください。

宇敷代表理事)スギやヒノキ、アカマツ、カラマツなどの立木を伐採して、製材工場などで加工しやすい長さに採材した丸太を生産しています。吾妻郡内の中之条町、東吾妻町、嬬恋村の国有林を中心に、年間の素材生産量はここ数年、1万5千立方メートル前後で推移し、群馬県内の林業事業者では規模が大きなほうですね。


━事業所の特徴、強みは何でしょうか。

宇敷代表理事)当組合は、外材の輸入が急増し始めた1965年に、国産材生産の合理化を進めようと営林署の作業員たちが退職して立ち上げた、群馬県内で最初に認定された林業事業体です。「山を育てた人の気持ちを大切に!」をモットーに伐出作業をし、伐採した跡地処理では林地崩壊が起きないよう細心の注意を払っています。発注者から信頼され、地域林業の担い手として高く評価されるよう常に努力しています。

特に力を入れているのは安全対策です。森林管理署から休業4日以上の労働災害の発生報告が届くのですが、来たら必ず全員を集めて会議を開きます。なぜ事故が起きてしまったのか、どうしたら防げたかを報告事例をもとに話し合います。予測してかかれば事故を未然に防ぐこともできる。そうした取り組みを徹底しているのも特徴と言えるかもしれません。

四万林業協業組合画像3 ━2019年度にユースエールの認定を受けられましたが、きっかけは何ですか。

飯塚常務理事)長年勤めた作業員の退職もあって、ハローワークで求人を出していたのですが、なかなか応募がなくて。そのときに職員の方から、ユースエールの認定を受けてみたらどうですかと勧められたことがきっかけでした。


━申請に際して苦労することはありましたか。

飯塚常務理事)認定基準を満たしていることを証明する書類を整えるのが大変でした。従業員全員分の所定外労働時間や有給休暇取得の実績などがわかる報告書類ですね。私が書類作成に慣れていなかったのが一番の原因なのですが、ハローワークが会社の近くにあるので、職員の方を何度も訪ねて教えてもらいました。15回くらいは通ったと思います。


━途中で申請をあきらめようとは思いませんでしたか。

飯塚常務理事)それはなかったです。私は今、39歳なのですが、自分より年下の従業員にがんばってもらいたいので、若い人が来て盛り上げてほしいという個人的な思いもあって、前向きに取り組めました。

四万林業協業組合画像4 ━ユースエール取得の効果はありましたか。

宇敷代表理事)ユースエールの認定を受けたことが地元紙の上毛新聞に載って、同業者から電話が入ったり、エフエム群馬のラジオ番組に飯塚常務理事が出て、取得のいきさつを話したりして、当初はいろいろと反響がありました。それで、高校生が職場見学にも来ました。

飯塚常務理事)近隣の高校や群馬県立農林大学校から、生徒の職場見学はできますか、といった問い合わせがきました。それまでは職場見学の希望などあまりなかったのですが、ユースエールの認定を受けた翌年の2020年は3人が、それぞれ半日かけて山仕事の体験見学をしました。ハローワークが、求人募集しているユースエール認定企業などを紹介した冊子をつくって学校に配布してくれたので、それを見た生徒が学校経由で連絡をくれたようです。

宇敷代表理事)事業面でも効果を感じることがあります。公共事業に採用される総合評価落札方式だと、価格以外の要素も入札条件に加味されて、ユースエールの認定を受けた事業者は加点評価されます。私たちは国有林の伐出請負が中心の仕事なので、入札で他社と競り合ったときに、ユースエール認定の加点が落札に有利に働くことがあります。

四万林業協業組合画像5 ━林業のやりがいや魅力、若い人へのメッセージをお願いします。

宇敷代表理事)林業は後世に財産を残す仕事です。植えた木が大きくなって伐採されるのは私たちの孫の代です。自然相手なので厳しい仕事ではありますが、豊かな自然環境を未来に託すロマンがあります。雨、雪、風の強い日などは早朝に判断して有給休暇にするので、年間の休みが多く、日没前の16時台に仕事を終えるので残業もほとんどなく、働きやすい職場だと思います。ユースエールの認定を受けてから高卒者も採用し、若い人材を一から育てています。森林・林業の奥深さを体験してみませんか。


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2021年入社の蓑輪真大さんに聞きました
━なぜこの仕事を選ばれたのですか。

林業関係の仕事をしていた母方の祖父へのあこがれがありました。山での仕事を楽しく話していて、よく働くおじいちゃんだったので。高校3年のときに、林業関係の会社をネットで調べてこの組合を見つけて、夏休みに職場見学をしました。伐木作業を目にして、自分でも木を切ってみたいと思って、ここで働くことを決めました。


━今はどんな仕事をしていますか。これから先どんな人材になりたいですか。

木の伐倒、集材が主な仕事です。伐木作業の講習を受けて入社2カ月後からチェーンソーが使えるようになりましたが、なかなか難しくて、思った方向に木を倒せるようになるまで半年かかりました。今は自分ができることを増やしていくことと、伐倒のスピードと正確性を上げることが目標です。とにかくけがをしないように安全第一でやっていきたいと思います。


━最後に、入社を考えている人へメッセージをお願いします。

人の多い職場よりも自然に囲まれた環境で働きたいと思ったのも、この仕事を選んだ理由でした。ただ一人の10代で一番年下ですが、皆さん仲が良く、働きやすいです。作業に必要な重機などの免許もいろいろと取れます。自然のなかで働くことが好きな人には良い職場だと思います。

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