「ユースエール認定企業」インタビュー

  • 農業,林業
  • 2022.03.03
西置賜画像_1(トップ)

中央:小関勝助さん(代表理事組合長)
右:松木康則さん(総務課長)
左:青木琢真さん(技術班・2021年入社)


山形県の最南端に位置する置賜地方の長井市、白鷹町、飯豊町を束ねる西置賜ふるさと森林組合は、2020年に森林組合として東日本で初めてユースエールの認定を受けました。環境問題やコロナ禍で国産材のニーズが高まり、追い風が吹く今やるべきことは「人への投資」だと、代表理事組合長に就いて4年目の小関勝助さんは言います。職員の待遇改善の取り組みなどを総務課長の松木康則さんとともに伺い、入社1年目の青木琢真さんに森で働くやりがいを聞きました。



西置賜画像_2(小関組合長)
小関組合長と松木総務課長に聞きました
━はじめに事業内容を教えてください。

小関組合長)この組合は、長井、白鷹、飯豊の1市2町の森林組合が1999年に合併してできました。出資をいただいている組合員は約2000人。組合職員は22人で、主産業の丸太生産をはじめ、森林整備、造林や木炭生産などの収入で運営しています。


━組合の特長、強みは何でしょうか。

小関組合長)若い人が活躍している職場だということです。木を伐採する林業作業員は9人いますが、この3年間で採用した21歳の3人を含む半数が20代です。これから若い人の力でどんどん成長していけると期待しているところです。

私が2018年に組合長になって感じたのは職員の給料の安さでした。そのために優秀な人が辞め、やる気も失せて、赤字が続いていました。この悪循環を断ち切るには待遇改善だと思い、給料を引き上げました。その分、私の就任後3カ月間の報酬と、役員も一部手当を返上しました。組合を変えていく姿勢を示したわけです。この数年は、地球温暖化でカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)への取り組みから世界的に木材需要が高まり、コロナ禍で木材の輸入が一時ストップして、国産材の価格が上昇したこともあって黒字になり、収益が上がり続けています。職場が明るくなり、職員にやる気が出ました。

西置賜画像_3(組合長と総務課長) ━ユースエール認定を取得するきっかけと申請で苦労したことがあれば教えてください。

松木総務課長)認定を受けた前年の2019年に、ハローワークのお世話になって新卒男性を1人採用できました。その後も求人を出すなかでハローワークから、ユースエールの認定を受けませんかと声をかけていただきました。年間の有給休暇の平均取得日数は15日で、残業時間は月平均0.6時間。特に現場は自然相手なので、日が落ちると仕事ができないから残業はほとんどありません。認定基準はどれもクリアしていたので申請の苦労はありませんでしたが、気になったのは取得した後、この基準を守っていけるかでした。

小関組合長)特に「正社員の離職率20%以下」を維持することです。山仕事ですから体力的にもハードです。それに応えるには、やはり待遇しかありません。みんなが頑張った分、必ず待遇を良くしますと職員に話しています。認定式で、森林組合として東日本初の取得だと聞いてプレッシャーになりましたが、この組合の取り組みが、各地の組合に広がるきっかけになればと思っています。


━ユースエール取得の効果を感じますか。

小関組合長)私が感じる効果は、ユースエールの認定を受けた職場であるという職員の自覚です。認められたことでやる気が出てきたように思います。それが一番良かったことです。

松木総務課長)求人の応募ではまだ目立った効果はありませんが、取引先や金融機関から「ユースエールを取ったんだね」と話しかけられました。特に金融機関は前向きな取り組みだと評価されたようで、信用が高まったのを感じます。

西置賜画像_4(小関組合長提供写真) ━改めて、働くことで得られるやりがいや仕事の魅力を教えていただけますか。

小関組合長)使命感に尽きると思います。地球温暖化が進み、森の環境保全は重要さを増しています。荒れた山のままでは災害も起きやすいので、防災面にも役立つ仕事です。この組合は無事故・無災害が現在まで6年半続いています。これはすごい記録です。危険を伴う伐倒作業は仲間同士の信頼と協調性が大事になりますが、無事故・無災害がそれを証明していると思っています。

松木総務課長)私は組合に勤め始めて20年以上経ちますが、若いころに植林したスギの木が今大きく育っています。それを見ると、お金のために働いているのとは別次元の、社会の一員として携わっているんだということをすごく感じて感慨深くなります。そういう気持ちになれるのも、この仕事の魅力だと思います。

西置賜画像_5(重機)_提供写真 ━最後に、入社を志望する若い人へのメッセージをお願いします。

小関組合長)林業の生産性や安全性を高めるため、ドローンの活用やレーザー測量などのIT技術の導入によるスマート林業が進んでいます。組合でも今年、新しいプロセッサ(造材機械)を購入しました。ゲームのコントローラーのように両手で操作する重機で、ゲームに慣れた若い人は得意でしょう。地球温暖化やコロナ禍で国産材の需要が高まってきて、伸びしろのある仕事です。興味のある方は地元、県外を問わず歓迎します。


西置賜画像_6(青木さん右向き)
2021年入社の青木琢真さんに聞きました
━なぜ森林組合で働こうと思われたのですか。

自然と関わる仕事がしたいと思って学んでいた山形県立農林大学校の林業経営学科の体験学習で、1年と2年の時に約1週間ずつ、この森林組合で仕事したご縁で就職しました。作業員同士の信頼関係や仲の良さを感じましたし、高校を出て入っていた同じ年の2人が働いていたのも心強かったです。


━今の仕事内容を教えてください。

チェーンソーで木を切ったり、倒した木を決まった長さに切りそろえたり、刈払機で下草を刈っての整地や測量もしています。伐倒作業は大学校でも経験しましたが、効率や流れを意識した仕事としての作業はやはり別物で、まだバタバタする時があります。

西置賜画像_7(作業中の青木さん)_提供写真 ━仕事のやりがいや今後の目標はありますか。

間伐作業を終えた森林を見た時にやりがいを感じます。間隔をあけて、すっと立つ木の1本1本が生き生きとしている感じがして、自分たちが手入れしたおかげだよと思いながら眺めています。今後の目標はまだ具体的にありませんが、とにかく安全第一です。自分もそうですし、チームの仲間もそうです。


━入社を考えている人へのメッセージをお願いします。

職員22人のうち20代と30代が9人なので、若い人が多く働きやすいと思います。フォレストワーカー(林業作業士)の資格取得にかかる研修費の補助制度もあります。林業をやってみたい気持ちが少しでもある人は気軽に尋ねてみてください。

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