「ユースエール認定企業」インタビュー

  • 幼稚園
  • 2024.01.19
【掲載1】トップ・園舎内集合写真①

左:西野入未夢さん(幼稚園教諭・2020年入社)
中央:垂澤優樹さん(須坂双葉幼稚園理事長・園長)
右:丸山紗矢さん(幼稚園教諭・2022年入社)


三角形の園舎が特徴的な長野県須坂市の認定こども園「須坂双葉幼稚園」。園内中央の広いホールを取り囲むように配置された教室に壁はなく、各クラスを園児が自由に行き来しています。その姿を職員全員で見守っています。伸び伸びと遊び、物事に意欲的に取り組む子を育てる教育目標が、開放的な園舎に表れています。2021年にユースエール認定を受けた経緯などのお話を垂澤優樹理事長・園長に、入社4年目の西野入未夢さんと2年目の丸山紗矢さんに仕事のやりがいなどについて伺いました。


【掲載2】垂澤優樹園長①
垂澤理事長・園長に聞きました
━はじめに事業内容を教えてください。

開園4年後の1971年に学校法人の認可を得て私立幼稚園になり、2018年の園舎建て替えに合わせて幼稚園型認定こども園に移行し、今年で開園56年を迎えました。祖父が創業して母が引き継ぎ、私が2016年から理事長兼園長を務めています。2歳から5歳までの園児約150名と、職員は教諭のほか事務職員を入れて22名います。


━園の特徴を伺えますか。

創立から今も変わらず、「遊びから学びへ」をモットーに、遊び中心の伸び伸びとした保育に取り組んでいます。文字や数字を学ぶことよりも、運動会や音楽会などの行事、信州の四季を楽しむ自然体験などを通じて子どもたちの感性を育むこと。幼児期に発達が見られる意欲や意志、協調性などの非認知能力を育てることを重視しています。

━開放的なつくりの園舎も特徴ですね。

三角形の園舎の真ん中にホールがあり、その周りを囲むように各クラスを配置しているので、お互いの様子が見える設計になっています。各部屋の間仕切りは可動式なので、すべて開放すると、ホールと一体になった大きな空間になります。この「壁のない幼稚園」にしたのは、異年齢が交流することで、年長さんの真似をしたり、年下の子の面倒を見たり、意欲や思いやりを自然に育む環境をつくりたいと思ったからです。また、職員が全員で子どもたちを見守る、風通しの良い職場にしたいという思いもありました。


【掲載3】開放感ある園舎①
━2021年にユースエールの認定を受けました。なぜ取得しようと思われたのですか。

私が理事長兼園長に就いた2016年から、顧問社会保険労務士と一緒に働き方改革を進めてきました。会議が多かったり、先輩が帰るまで帰らなかったりといった、熱心さゆえに職員たちを疲れさせていた働き方の改善に取り組むなかで、ユースエール制度を知り、社労士に申請手続きを手伝ってもらって認定を取りました。幼稚園の先生のなり手が少なく、採用に苦労しているので、若い人が入ってきやすい職場にしたいという思いがありました。


━進めてきた働き方改革でどんな変化がありますか。

メリハリのある働き方になったと思います。2022年度の従業員の所定外労働時間は月平均0.2時間で、有給休暇の取得日数は年平均13日でした。当園は年間行事の繁閑に合わせた変形労働時間制を採用しています。正規職員には年度開始前に、「年間勤務カレンダー」を渡して日々の勤務時間数を伝えています。2023年度の総労働時間数は1999時間で、勤務日数は247日、休日は119日です。毎日の労働時間をはっきりと示すことで、残業をしない働き方が定着したと思います。


また、コロナ禍を機に行事も見直しました。例えば、夜に親子で参加する恒例行事だった「夏祭り」を、日中の保育時間に子どもたちだけで楽しめる催しに切り替えました。保護者に向けた事前準備や当日の残業をなくして職員の負担を軽くしました。そして、もう一つ変化としてうれしかったのは、2018年に初めて育児休業を取る職員が出たことです。それまで結婚退職をするケースが多く、育休を取ることをためらう雰囲気がありました。今も別の職員1名が育休中ですが、こうした前例ができてとてもよかったと思います。


【掲載4】園庭で垂澤園長と園児たち
━ユースエールの認定を得て良かったと感じることはありますか。

外に向けたPR効果は正直まだあまり感じませんが、自園のあり方を見つめ直す良いきっかけになりました。職員に有給休暇の取得をしっかりと促していくことや、無駄と思えるような残業は減らしていこうという意識が出たからです。認定を毎年更新するので、各職員の働き方をおのずとチェックする習慣も付きました。


━最後にこちらの園で働いてみたいという若い人へのメッセージをお願いします。

私が今取り組みたいと思っているのは、新人職員をゆっくりと育てる環境をつくることです。この業界は人手不足もあり、保育士資格や幼稚園教諭免許があると経験に関係なく即戦力として扱うため、その業務負荷が若い人の離職につながっているように思います。職員がゆっくりと成長していける園の運営を目指し、結婚しても続けられ、子育て後にも復職できる職場にしたいと考えています。


【掲載5】丸山さんと西野入さん
2020年入社の西野入未夢さんと2022年入社の丸山紗矢さんに聞きました
━こちらの幼稚園を志望した理由から教えてください。

西野入さん)幼いころから幼稚園の先生になりたくて、保育の専門学校で学んだのですが、就職先は自然体験に力を入れている園で働きたいと思っていました。須坂双葉幼稚園が、自然や地域の環境を活かした保育を実践する信州型自然保育認定制度の「信州やまほいく」に認定されていると知って、園を見学させてもらい、運営方針に魅力を感じて志望しました。


丸山さん)私も西野入さんと同じ専門学校ですが、就職活動で園を見学した際に園長が、「うちは園全体が遊び場なんだよ」と話されたことが印象的で、年齢に関係なく園児が交流する自由な環境が良いなと思って希望しました。


【掲載6】丸山紗矢さん①
━丸山さんは2022年入社なので、園がユースエールを取得した後ですね。

丸山さん)専門学校にあった求人票に「ユースエール認定」と書いてあったのですが、園を訪ねるまで制度の内容は知りませんでした。見学のときに園長から説明があり、家に帰ってどんな認定制度なのかを調べました。残業が少なく、有給休暇がしっかりと取れる働きやすい職場だとわかって、須坂市のほかの幼稚園はユースエールを取っているのかどうかも一応見たんです。この園だけだとわかったことも志望理由の一つになりました。


━仕事のやりがいについて教えてください。

西野入さん)子どもたちの成長をすぐそばで感じられることが一番のやりがいです。今3歳児を担当していますが、お箸が使えなかったり、トイレが怖くて行けなかったりした子が、ある日突然できるようになる。その成長の瞬間に立ち会うと、涙が出るくらいに感動します。


丸山さん)1年目は2歳児の担当でした。2歳だと子どもたちだけで遊ぶことがまだできないので、遊びを用意するのですが、経験による引き出しがないために、何にしようかと悩むことが多かったんです。そうして悩みながら考えた遊びを、子どもたちが笑顔で返してくれたときにやりがいを感じました。


━須坂双葉幼稚園の気に入っているところはどこですか。

丸山さん)壁のない開放的な園なので、子どもたちと接する先輩方の様子が自然に目に入ります。子どもへの声かけがわからないときに、ほかの先生の話しかけ方を聞いて参考にしています。見て学べる園舎のつくりが気に入っています。


西野入さん)運動会や音楽会、劇の発表会などの行事の準備や練習で悩むことがあるのですが、主任や先輩の先生が相談に乗ってくださって一緒に考えてくれるところです。その助けがあって、大変なことも乗り越えられたと思っています。また、働き方の面では残業が少なく定時に帰れるところです。仕事の後にヨガ教室に通ってリフレッシュしています。


丸山さん)私はピアノが苦手なので週1回、仕事の後にレッスンに通い始めました。今年度は早番の仕事なので18時からのレッスンに間に合います。


【掲載7】西野入未夢さん①
━今後の仕事の目標を教えてください。

西野入さん)先輩方の保育を見て学び、自らが成長すること。そして、私の後に入ってきた後輩の先生の悩みに気付いて声をかけられるようになることです。そのためにも心に余裕を持って、周りを見られるようになりたいと思います。


丸山さん)先の見通しをもって仕事ができるようになることです。いろんな担当や役回りを並行して進めるときに、今何を優先するのかを順序立てて考えられる力を付けたいです。


━最後にこちら園で働きたいと考えている人へのメッセージをお願いします。

丸山さん)先輩との距離が近く、みなさん親身になって話を聞いてくれます。いただいたアドバイスが自分の力になっていることを感じます。そうして自らを成長させていきたい人にはとても良い職場です。


西野入さん)ベテランの先生から若い先生まで世代も幅広く、いろんな視点からアイデアや意見をもらえます。そこがこの園の良いところです。私は幼稚園の先生があこがれの職業でした。同じ気持ちをもつ方と一緒にその夢をかなえられたらいいなと思います。


【掲載8】西野入さん、丸山さんと園児たち
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