「ユースエール認定企業」インタビュー

  • 教育・学習支援業
  • 2017.12.25

株式会社エステーモータースクール

取締役 総務・経理部長 佐野和茂 様



認定企業の事業内容
―御社の事業内容についてご説明いただけますか。

当校は自動車学校で、岩手県内に29校ある「指定自動車教習所」の一つです。

教習の車種としては、普通自動車、準中型自動車、中型自動車、大型自動車、大型特殊車、小型自動二輪車、普通自動二輪車、大型自動二輪車、けん引自動車があります。


―準中型自動車とは聞き慣れない車種ですが。

準中型自動車は平成29年3月11日に道路交通法の改正でできた区分で、車両総重量3.5トン以上7.5トン未満、乗車定員10人以下の車両を指します。それまで5トン以上の車種の運転には中型自動車免許以上が必要で、20歳以上、普通自動車免許等の取得から2年経過していないと取れませんでした。高校を卒業したばかりの若い人でも配送トラック運転等の業務につけるよう、制度が改正されたのです。


―指定自動車教習所とはどういうものですか。

各都道府県の公安委員会より指定を受けた自動車学校のことです。ほかに、届出だけの自動車学校もあります。これとの違いは、指定教習所は指導員全員が指導員資格の取得を義務付けられていることです。カリキュラム、コース、設備等についても厳しい基準に合格しないと指定を受けられません。最も大きな違いは、指定教習所を卒業すると試験場での実地試験が免除されます。当校は昭和35年に開校した岩手県で一番歴史のある自動車学校で、昭和36年に岩手県公安委員会指定第1号を受けています。


―教習以外の事業はありますか。

免許取得の教習以外は、初心運転者講習、高齢者講習、ペーパードライバー講習などがあります。高齢者講習は認知機能の検査等も行っています。ほかに、一般運転者・企業への安全運転講習等の取り組みにも力を入れています。




ユースエール認定の取得理由
―ユースエール認定の取得理由をお聞かせください。

最初は岩手労働局より案内を頂きました。メリットとして謳われていたなかに、助成金の優遇措置がありましたので、認定基準をクリアできるか確認してみたところ、何とかいけそうだということで申請しました。

もちろん、きっかけは助成金の優遇措置ですが、そのためだけではなく、若い人たちに憧れを持って教習指導員という職業を選んでいただきたくて、そのためのアピールになればいいな、と思っています。


―認定の取得にあたっては、どんなことをされましたか。

取得のために何か取り組んだというよりも、今まで労働環境の整備をしてきていましたので、算出してみたら当てはまったという感じでした。

この業界はどこも学生さんが卒業を控えた1~3月が繁忙期で、閑散期との労働時間のギャップは激しいですが、変形労働時間制などで何とかクリアしています。


―若者の雇用について、どのように考えておられますか。

雇用に関しては、広く門戸を拡げて若い人たちに応募していただきたいのですが、ただどうしても資格を取らないと教えられない職種ということがあります。所持免許の関係で、高校卒業してすぐというわけにはいきません。受験資格が21歳以上ですから、3年間はほぼ何もできません。大卒の方、または一度就職されて、何らかの事情で転職された方が多いですね。現在、当校の若い人は、ほとんどが転職組です。中途採用に関しては、何か不利になるようなことはございません。




ユースエール認定取得の効果
―ユースエール認定取得による効果は何かありますか。

たまたまトップバッターとして、全国初のユースエール認定を取得したことで、新聞などにも取り上げていただきました。それによって、たくさんの人々に「自動車学校がユースエールに取り組んでいるの?」と、目が向いてくれるといいなと思っています。


―どんなメディアに取り上げられましたか。

メディアは地元紙もありましたし、朝日新聞にも掲載していただきました。経団連さんが出している冊子のなかにも取り上げていただいております。また当校の所属しております業界団体・岩手県指定自動車教習所協会の上部団体である全日本指定自動車教習所協会連合から表彰していただき、その機関紙にも掲載していただきました。


―新聞などに取り上げられて、何か反応はありましたか。

やはりいろいろなメディアに取り上げていただきましたので。当校の代表者のところに「どうやったら認定もらえるの?」とか、「認定基準の内容はどうなの?」などの問い合わせがいろいろありました。



雇用管理や人材育成
―雇用管理で注力していることはありますか。

有給休暇は、会社から働きかけをしなくても、もともと取得しやすいように融通しあっていました。育児休暇もみなさん取得していますし、小さなお子さんがいる母親の突発的な休みにも、まわりが協力して代替業務の対応をしています。働きやすい環境づくりの風土はできあがっていると思います。


―人材育成についてはいかがですか。

最初は普通自動車の教習指導員の資格を取得しますが、それはスタートラインです。すべての車種の資格を一つひとつ取らなければなりません。さらに卒業検定など、技能検定委員の資格は別にあります。それもまた一つずつ取得していくのです。受験資格として有資格者から何十時間という講義を受ける「事前教養」が必要です。どんなに優秀でも、必ず先輩から手ほどきを受けます。

ほかに協会主催の一週間の講習や、県外の中央研修所で行う研修を受けないと受験資格を得られないものもあります。

これらの費用は交通費・宿泊費を含め、かなりの金額です。そこで、いただいた助成金を活用して、人材育成への投資を図っているのです。


―御社の自動車学校としての基本理念等がございましたらお願いします。

当校の代表者は常々「今は若い人たちに“なりたい職業”としての憧れを持って教習指導員を選ぶ人がいない」と言っております。

運転される方はたいてい一定期間だけ自動車学校に通い、卒業後に振り返ることはほとんどないでしょう。私たちは、その短い期間に一生の安全運転に関わる「技術」と「心」をどれだけ伝えられるか、常に意識しながら臨んでおります。何かあった際、事故に至らなくてもヒヤリとしたとき、かつて当校で教わったことを思い出して、安全運転を心がけていただきたいと思います。

安全暗転に誇りを持ち、若い人たちに憧れの職業として選んでもらえるような自動車学校を目指して、日々取り組んでいます。


ページトップページトップへ戻る