「ユースエール認定企業」インタビュー

  • 情報通信業
  • 2017.10.25

ボッシュエンジニアリング株式会社

代表取締役 龍﨑浩太郎様



認定企業の事業内容
―まずは御社についてご説明いただけますか。

弊社はドイツの自動車部品メーカーであるロバート・ボッシュGmbHのグループ会社です。ロバート・ボッシュGmbHは設立130余年になります。ボッシュ・グループは、グループ企業の従業員が世界中に約39万人、世界約60カ国で事業展開しているメガ・サプライヤーの一つです。


―御社はロバート・ボッシュGmbHの日本法人ですか。

多少複雑でして、ロバート・ボッシュGmbHの100%子会社の日本法人はボッシュ株式会社です。日本でボッシュといえばこちらを指します。

ボッシュは規模も大きく、1品番で年間100万個製造する部品を得意としておりますが、例えば超高級車だけ製造するメーカーは年間数10個しか出ないような部品を求めています。そこで、柔軟な対応ができるようボッシュエンジニアリングGmbHが1999年にドイツに設立され、弊社は2006年に設立されたその最初の海外拠点です。弊社は資本関係ではボッシュ株式会社の100%子会社ですが、事業内容はボッシュエンジニアリングGmbHを受け継いでおります。


―御社の事業内容はどういったものですか。

製品はできるだけボッシュの標準的なものを提供し、そのソフトウェアやアプリケーションをカスタマイズしてお客様の要求にあったエンジニアリングサービスを提供するビジネスモデルを展開しています。


―具体的にはどういったものを展開されておりますか。

パワートレイン関係、パワーサプライシステム、電気/電子ネットワークといった車両のネットワークのアプリケーション、またモータースポーツの製品の販売などをおこなっています。




ユースエール認定の取得理由
―ユースエール認定の取得理由をお聞かせください。

創立者のロバート・ボッシュは当時のドイツでも珍しいほど先進的な人物で、1894年に9時間労働制、1906年に8時間労働制、1910年に土曜半日休暇、有給休暇制度を導入し、1953年にはボッシュ健康保険組合を設立しています。


―日本では考えられないほど先進的ですね。

ロバート・ボッシュGmbHの「GmbH」とは「有限会社」のことで、株式を公開していません。ボッシュ・グループでは、すべての利益を配当として持ち株会社が吸収し、その利益を元に社会貢献活動をしています。日本の法人は株式会社ですが100%子会社なので、私どもも利益を上げている限りこの社会貢献に寄与しているのです。

親会社のボッシュは、若手への教育や従業員の福利厚生をとても重視しています。私たちボッシュエンジニアリング株式会社としても、もともとのコンセプトに加え、さらに福利厚生や労働環境をよくすることで、親会社やグループに対してもアピールしていきたいと考えていました。


―そこでユースエールですか。

今回の認定は、取得のために努力したということではなく、以前から取り組みを続けていた結果を評価していただいたと考えています。

ボッシュ・グループの理念に基づいた私たちの考え方や取り組み方が、政府や厚生労働省様が考える方向性と合致しているのは大変光栄なことであり、その結果、ユースエールに認定していただけるということに対しても非常に嬉しく思っています。


―そもそもボッシュ氏はなぜそういう方針だったのですか。

会ったことがございませんので、正確にはわかりませんが、伝え聞いている話によりますと、「従業員が就労環境に満足している会社ほど生産性が高い」と考えていたようです。




ユースエール認定取得の効果
―ユースエール認定取得による効果は何かありますか。

これまでは、従業員に対する福利厚生や就労環境の改善の取り組みを進めていても、会社としてなかなか外にアピールする機会がありませんでした。採用においてもホワイト企業であることをアピールしていきたいのですが、限られた枠の中でしかできませんでした。これがユースエール認定取得によって今後、社内はもちろん、社外に対しても、「社員を大切にする会社です」ということを発信するいい機会だと考えております。


―まさに、渡りに船だったわけですね。

さらに、ユースエール認定は毎年基準を満たしているか審査を受ける必要があるため、この認定取得を継続できているということは、私たちがこのような活動に取り組み、それを実行できているということになります。このような継続性も社内、社外にアピールできるいいチャンスだと捉えています。


―何か目に見える変化などはございますか。

先月ユースエール企業に認定されたばかりなので、まだ目に見える効果は現れておりませんが、次の新卒採用のタイミングである今年の終わり頃から効果が出てくることを期待しています。一方で、社内については、この認定を通して弊社の福利厚生や雇用管理の水準を客観的に再認識できる機会になっていると思います。



雇用管理や人材育成
―社員の雇用管理や人材育成で注力している点はありますか。

今年から在宅勤務制度を導入し、1カ月で最長40時間は在宅勤務が可能になりました。適用には一定の基準はあるものの、育児・介護など理由は問わず利用可能です。

勤務時間に関しては、コアタイム無しのフレックス制度を導入しておりますので、時差のあるドイツ本社との電話会議などは、出社時間を調整して対応しています。


―雇用管理で工夫している点はありますか。

例えば、弊社のビジネスの一つであるモータースポーツ部門では、お客様のレースのスケジュールの都合上、残業や休日出勤が発生することがあります。その際に、月内の労働時間を調整したり、代休や振休を利用してきちんと休暇が取れるようにしています。制度を工夫することで、残業や休日出勤ができる限り発生しないような管理をしています。


―人材育成についてはいかがですか。

ボッシュ・グループでは全世界の全社員に向けて、体系的な育成プログラムを用意しております。日本でも埼玉県新座市に研修センターがあり、年間数百の研修を実施しています。近年ではオンライン研修も増えてきており、また、エンジニアリング関連の研修の中でも専門性の高いものについては、ドイツで開催される研修に参加することもあります。


―本社がドイツということですが、ドイツ語は必須ですか。

外国籍の社員も多いため、会議等でのコミュニケーションは基本的に英語です。

もちろん全社員が、もともと英語が堪能だったというわけではありません。中には入社時には英語が喋れなかった人もいますが、研修や海外赴任などを通して、今では仕事で使えるレベルまで上達している人がほとんどです。


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