「ユースエール認定企業」インタビュー

  • 製造業
  • 2017.12.04

本橋テープ株式会社

代表取締役 本橋真也様



認定企業の事業内容
―御社の事業内容についてお聞かせください。

細幅織物の製造販売を行っています。細幅織物とは幅が13cm未満の織物のことです。丈夫なので、例えばシートベルトやヘルメットのあごひも等に使われます。メインはかばんの副資材というかたちで、ストラップや取っ手の持つ部分などに使われています。


―主な取引先はどのようなところですか。

お客さんは東京・大阪・名古屋などの付属問屋です。付属問屋は、例えばファスナーや金具、ゴムなどを扱っていますが、その一つとして、テープという部材があるのです。


―問屋さんへ卸す部材のみを製造されているのですか。

最近は、海外生産が増えてきて、卸す仕事も減ってまいりました。新規業態を模索しているうち、細幅織物を使用した商品を作れるのでは、ということで、オリジナルの商品を作っています。

WEBサイトも早くから公開しており、販路もだんだん広がっております。


―例えばどのような製品ですか。

携帯ストラップ、ペット関係、家具、インテリア、アウトドアスポーツ、そしてトートバッグです。オンデマンドで1つから作れます。直接、商品として販売していますが、こういうものも作れるということでOEM生産の受注がきております。例えば、通販会社のベルトや、ペット関連の首輪などです。


―新規事業はどのように進めていますか。

新規事業の企画には、若い人たちの柔軟な発想や工夫が非常に役立っております。デザインも当初は外部に発注していましたが、自社でやろうと専門学校卒を一人採用しました。もう4年になりますが、その子がメインにデザインしています。企画は営業の若い社員がやっていて、少しずつですが完成品が増えてきています。




ユースエール認定の取得理由
―ユースエール認定の取得理由をお聞かせください。

ユースエールを知ったきっかけは、労働局から当社の方へ「こういうものがあるんだけど、挑戦してみませんか?」と打診があったことです。当社は、昔から若者だけではなく、女性活躍も推進していますし、高齢者雇用も進めています。文字通り、老若男女という雇用方針の一環として、若者雇用も考えていました。そこでユースエールの認定をしっかり取得して、きちんとした定義づけの中から若者の活躍を考えてみようと思ったのです。


―すぐに認定取得への取り組みを開始したのですか。

聞いた当時、県下でどこも取得していないということで、最初に取得しようと思ったのですが、ちょうど会社の30周年記念行事や、ショップをオープンしたりしていて忙しく、秋の取得になりました。県下で4番目、全国で115番目です。


―取得にあたって、何か取り組んだことはありましたか。

特に何の努力もしていません。もともと働きやすい労働環境へとシフトしていましたので、そのまま申請しました。


―いつ頃から労働環境の改善を始めたのですか。

先代の社長だった父が亡くなったのが4年前で、そこで世代交代が急速に進み、僕が社長になりました。僕も子育て世代ですし、僕より若い社員も子育て世代ですので。僕も昔は、営業は深夜残業が当たり前だという考え方だったんですが、世の中も変わってきましたし、自分の立場も変わったので、働きやすい環境へと少しずつ変えていきました。

ただ、基準がわからなかったので、ありのままの状態で認められるかどうか興味がありまして、そのまま提出しました。




ユースエール認定取得の効果
―ユースエール認定取得による効果は何かありますか。

認定にあたって、数字を整理しましたので、自分たちの会社の雇用環境が社会的に見ても整っていることを従業員にも理解してもらうことができました。数字にして見える化を進め、生産管理や業務の効率化に役立ちました。

また認定取得により雇用管理状況の報告義務ができましたので、今まで手作業だった労働時間計算等のシステム整備にもつながりました。業務改善案は社員から出されましたので、意識改革にもつながったと思っています。


―外部的には何か効果がありましたか。

パブリシティーや広報活動、会社のブランディングにつきましては、静岡新聞に認定証授与式の記事をカラー写真で大きく掲載してもらいました。

2月には、静岡新卒者就職応援本部主催のシンポジウムに、ユースエール認定企業として呼ばれまして、パネリストとして「若者の人材確保と職場定着に向けて」というテーマで語ってきました。


―具体的な効果がありましたね。

静岡労働局、ハローワーク、関東経済産業局らのバックアップがあってこそのことだと思っています。こうした関係性も築けましたし、当社の地域貢献の活動の幅も広がりまして、非常に効果があったと思っています。

実は、申請に当たってシステム導入などの費用対効果を考えますと、認定でどれだけ効果を生むかわからないものに取り組むべきではないという意見もありました。しかしそうではなく、当社の雇用環境を客観的に見直すことができましたし、さらに地域に対してのブランディング力の強化につながり、新しいネットワークも築けましたので、認定を受けてよかったと思っています。



雇用管理や人材育成
―雇用管理や人材育成についてはいかがですか。

当社は毎期決算のときに経営計画書を作りますが、計画書の後半には社員一人ひとりのアクションプランを作成しています。僕と直接面談して決めますが、できたこと、目標を確認して、社員の成長を促し、社員も会社も成長することを目指しています。

当社では老若男女、一人ひとりにスポットが当たるような会社を目指しています。ユースエール認定に加え、えるぼし認定への取り組みも始めておりまして、こうした活動が、社員が輝くためのきっかけづくりになってくれればと思っています。


―人材育成の面ではいかがですか。

来春入社予定の新入社員にはアルバイトとして来てもらっていて、なるべく多く職場を体験してもらっています。若い社員たちへの教育方針としては、信頼してまかせきることで主体的に考えられる人材を育成しています。

また、地域のさまざまなイベントに積極的に参加しています。これらも単なる賑やかしではなく、さまざまなアイデアを出して臨むことによって、お客様にどうしたら喜んでもらえるかを学んでいます。地域貢献を通じての人材育成の場と考えているのです。


―研修等は行われていますか。

外部研修も、モニタリング、コーチング、あるいは技術的なものなど、個々に応じて必要な内容の研修を積極的に推奨しています。全体的な社内研修や主任以上を集めた社内研修を年1~2回行っています。

外部研修は一覧表が回ってきて、それぞれが選んで参加しています。海外の研修に参加することもあって、今年はヤコブミューラーという細幅織物機械のメーカーの研修にスイスに行ってきます。またイタリアの展示会には、5年ほどお客様と一緒に参加しています。



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