「ユースエール認定企業」インタビュー

  • 製造業
  • 2017.12.25

国産部品工業株式会社

管理部総務課 課長 大西宏和様



認定企業の事業内容
―御社の事業内容をお聞かせください。

主にエンジン関係のシール部品を製造しており、世界初のメタル製シリンダーヘッドガスケットを開発しました。

車のエンジンはヘッドとブロックに分かれており、つないでいるのがヘッドガスケットです。当時は紙製でしたが、メタル製にすることで耐久性はもちろん出力も上がり、燃費も向上します。


―ほかに主力商品はございますか。

ヒートインシュレイターという部品があります。排気系の部品で、燃焼ガスが排気されるまで遮熱・遮音機能の役目を果たします。この部品のおかげで熱や音から守られ、快適な運転空間が保たれるのです。

これら2つの部品がそれぞれ売上の3割強を占めます。そのほかメッシュ部品や非金属のガスケットなども製造しています。


―主な取引先をお聞かせください。

今は、マツダが売上の半分くらいを占めています。三菱自動車工業さんも2割くらいの売上です。

お客様のニーズに応えながら海外展開もしており、海外には3拠点持っております。


―「国産部品工業」という社名ですが海外生産されているんですね。

そうですね。よくお電話で「国際部品工業さんですか」と言われることもあります。元々大阪市にありました「国産パッキング商会」が当社の創業で、社名の由来です。お客様のニーズが広がった現在、グローバル化の波が当社にも押し寄せており、海外でも生産しております。


―御社の特長をお聞かせください。

工業団地の会社は本部や開発部門を都市部に置くところが多いですが、当社は一貫生産で、敷地内に本部機能や開発棟を備えております。突然の仕様変更や何かあった際に、技術の人間がすぐに対応できるという利点があります。




ユースエール認定の取得理由
―ユースエール認定の取得理由をお聞かせください。

先ほどの一貫生産の話につながりますが、技術の人間も、この綾部工業団地で求人を行っております。都市部ではないため、地域的に人が集まりにくいことがありまして、なかなか採用が難しい状況です。良い方がいらっしゃいましたら、エンジニアとして採用していきたいというのが以前からの課題でした。

そのようななかで、厚生労働省が「若者応援宣言」事業に取り組まれていましたので、そこに参加して、実績を見ていただいて、採用に結び付けられないかと思っていました。


―まず、「若者応援宣言企業」になったのですね。

「若者応援宣言企業」として情報を出して、少しでもハローワークの後押しをいただきたいと思っていたところ、情報内容を見たハローワークの方から「ユースエール認定企業の条件を満たしているのでは」とお声がけをいただきました。

そのとき、直感的に「これは地域的な問題で苦戦していた採用活動への大きな武器になる」という思いから、取得への取り組みのきっかけとなりました。


―認定基準を満たす労働環境の整備は行っていたんですね。

製造業ですので、お客様のニーズに応えていくというのが使命です。そうであったとしても、法律は遵守していくというのが経営者のスタンスであります。経営者も強く労基法を守っていくという姿勢のなかで、働きやすい環境を社内で作っていこうという空気がございました。

中期経営計画の中にも「働きがいのある会社づくり(職場づくり)」を謳い、トップダウンで取り組みを展開しております。そのためにいろいろな取り組みをしておりまして、それが、認定基準と合致したということになります。




ユースエール認定取得の効果
―ユースエール認定取得による効果は何かありますか。

実際に効果を感じております。

ハローワークの合同説明会で、ユースエール認定企業ということを全面に出して、非常に後押しをしていただいております。

また、こちらから媒体を使って発信していく際にも、「ユースエール認定企業」ということで、厚生労働省の認めた厳しい条件をクリアしているということが、何よりのエビデンス(根拠)となります。私どもがいくら「ウチはこうです」とうちわの話で聞こえのいい言葉を並べたところでそれほど効果はありませんが、「厚生労働省認定」というところは、武器として心強いものがあります。


―具体的に武器としての効果はありましたか。

実際に高校生の採用のときに、保護者の方といっしょに工場見学をされまして、そのときに保護者の方が「最近、時間外労働などが問題になっていますが…」と話をされるんです。そのときに「いえいえ、当社はユースエールの認定を受けておりまして」と、「若者雇用促進総合サイト」を見せてユースエールの認定基準の説明をいたしますと、非常に安心され「この会社だったら」という声もいただきました。

こういうところは採用活動につながる効果が非常にありましたね。


―実際の採用活動で「ユースエール認定」を活用されているんですね。

媒体でも社名の横に「ユースエール認定企業」という言葉を使わせていただいておりますので、真剣に見られる方はそこも判断材料にされると思います。ネームバリューに対抗する武器として採用活動を戦えますので、非常に効果が大きいと感じています。



雇用管理や人材育成
―雇用管理で注力していることはありますか。

新商品のご依頼を受けますと、営業から設計にいき、量産の準備をする部門にまわり、量産につなげていきます。どうしても設計部門はお客様のニーズに応えて納期に間に合わせるという宿命を背負います。そこで残業時間が社内規定に近づきますと、ヒヤリングや体調面を考慮して産業医の健康相談を行うなどの措置をとっております。

また一人に業務が偏らないための平準化や、同じような技術を持つ人間がカバーできるように教育訓練などをしています。

人材資源が豊富なわけではありませんので、難しいことですが、取り組みへの努力はしております。


―人材育成についてはいかがですか。

定期採用ですと、入社後一週間は集合研修、その後半年ほどいろんな部署で実習し、体験して、配属となります。OJT(業務を通して行う教育訓練)や先輩の指導などの一般的な新人教育を行っています。

加えて今、注力しておりますのは「自覚教育」です。教育者が「何のために必要か」というところまできちんと指導することで、教育を受ける側に自覚を芽生えさせるという取組みをしており、最も重要だと考えています。


―どのように取り組まれていますか。

基幹システムとして品質保証の国際規格ISO9001の認証取得、さらに海外で競争できるよう品質保証の国際自動車規格QS9000、環境マネジメントシステムISO14001、品質マネジメントシステムISO/TS16949、さらに今年からIATF16949と、ハードルが上がっております。より良質な製品を作るためにこれらの規格の認証がかかせません。その要求事項には人材育成のための「力量評価」があります。「何のためにするのか」が重要ですから、その際には「自覚教育」をかかさず意識して行っております。


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