「ユースエール認定企業」インタビュー

  • 製造業
  • 2017.12.04

秋田製錬株式会社

取締役生産管理部管掌(兼)総務部部長 富樫健一様



認定企業の事業内容
―御社の事業内容についてご説明いただけますか。

当社は主に鉄をさびから守る電気亜鉛の製造を行っています。亜鉛は鉄をメッキする際に使用されます。

南米、アラスカ、オーストラリア、メキシコなど海外から輸入した亜鉛精鉱を焙焼炉で燃やし、酸化亜鉛にします。これを希硫酸で溶かし、不純物を取り除いたあと、電気分解によって純度99.995%以上の高品質の電気亜鉛を生産します。生産量は年間約21万トン、電気亜鉛の国内生産量の約3分の1、日本一の生産量を誇ります。


―例えばどういったものに御社の亜鉛が使用されていますか。

生産した電気亜鉛は、例えば自動車用鋼板、ボディのメッキ等に使われます。すべて委託生産で、メーカーと直接取引や加工会社、部品会社等をはさむこともありますが、トヨタ、ホンダ、日産をはじめ、日本のすべての自動車メーカーで当社の亜鉛が使われています。

ほかにも建築物・電化製品等に使われる鋼板のメッキ材、亜鉛と銅の合金「真ちゅう」として5円玉や金管楽器、コネクター材、また亜鉛ダイカストとしてミニカーや車のキーの差込口など、さまざまなところで当社の電気亜鉛が使用されています。


―電気亜鉛以外の生産は行っていますか。

電気亜鉛以外ですと、電気カドミウム、濃硫酸の生産も行っております。カドミウムはニッケルカドミウム電池、濃硫酸は主に肥料や繊維、薬品に使用されます。

また、精製の際に出る有価金属を、世界で唯一のヘマタイト法という工程で回収し、廃棄物が出ない製錬技術を持っています。




ユースエール認定の取得理由
―ユースエール認定の取得理由をお聞かせください。

理由は3つあります。

1つ目は社員全体のモチベーションアップです。ユースエールを取得することで、当社社員のブランド意識を高めます。

2つ目は、国の評価をいただいたことを県内でPRして、雇用の確保につなげます。優秀な人材が入社を希望してもらえるようにアピールしていきます。

3つ目は地域社会への取り組みです。秋田県では人口の減少、少子高齢化が進んでおります。若い世代に秋田で働く魅力を伝え、若い世代とともに地域を活性化していきたいと願っています。


―認定の取得にあたっては、どんなことをされましたか。

取得に当たっては、朝礼等で啓発に努めました。有給休暇の取得率の向上にあたっては、総務部員が毎月、社員に対して取得状況の進捗と取得推奨のアドバイスを行っております。


―若者の雇用について、御社の方針はどのようなものでしょうか。

当社では平成25年より再雇用制度といたしまして、60歳定年を過ぎてから65歳までの再雇用を行っています。60歳を過ぎますと体力的にも厳しくなりますし、そのあとの人材を確保しなければいけないということで、毎年4~5名、新卒の採用をしております。




ユースエール認定取得の効果
―ユースエール認定取得による効果は何かありますか。

昨年(平成28年)3月16日に秋田労働局長より認定書を授与されましたが、秋田県内でユースエール認定企業第1号、東北地方での製造業は初めてということもありまして、地元地域に対してかなりのアピールになっていると思います。


―社員の方々のモチベーションはいかがですか。

もともと労働生産性を高めて、仕事の質を向上させる取り組みは、ユースエール認定に取り組む以前から積極的に行っておりました。

STAR活動(SPEED、TARGET、ACTION、REVOLUTION)や5S活動(整理・整頓・清掃・清潔・躾)などは日常的に取り組んでおります。

また会社の敷地内に入ってすぐ目に付く場所に、大きく「自律自走」というスローガンを謳った看板を掲げています。「自分で律して、自分でスピード感を持って仕事に取り組む」という意味です。

QCサークル活動(QC:Quality Control、品質管理/QCサークル活動:職場内で小グループに分かれ、品質管理活動の一環として、職場環境・品質・サービスなどの管理・改善・啓発等を継続的に行うサークル活動)もさかんで、QCサークル活動の全国大会では、その日最も会場の支持を集めた「感動賞」をいただいたこともあります。

こうした様々な活動で仕事の質の向上、社員の士気を高めてまいりましたが、ユースエールの認定も、取得理由の1つにあるようにモチベーションアップに寄与していると思います。

今後は、2つ目、3つ目、つまり地域への積極的なPR、また地域活性化に貢献できるような効果を期待しています。



雇用管理や人材育成
―雇用管理や人材育成についてはいかがですか。

当社はDOWAホールディングスのグループ会社で、入社年次の若い社員は静岡県にあるグループの研修センターで研修を受けます。当社には「安全が全てに優先する」という社是がありますので、その基本精神と保全に関わる研修を受けております。また同和グループでは、グループ全体でOJT制度を採用して、育成を行っています。


―新人教育はどのようにして行っていますか。

当社には製造工場が4つほどありますので、新入社員は現場配属になるまで、各工場の役割や作業内容を学びます。その際、入社年次の若い3年未満の社員が教育するメンター制度を採用しております。この制度は、教える側も教えられる側も勉強になるという効果があります。


―雇用管理で注力していることはありますか。

225名おります全社員に、年次有給休暇を年間5日以上は必ず取得するよう通達しております。昨年の数字では、10日以上を確保しました。今年は現段階、5ヶ月で6.21日です。これは年間に直しますと一人当たり年間14.9日のペースになります。出産休暇、育児休暇取得率は100%です。


―御社の雇用管理・人材育成の基本姿勢などがありましたら、お願いいたします。

よく言われることですが、人材には4種類あります。すなわち、人材、人罪、人在、人財。当社ではしっかりと人を育てることで「人財」を育成し、「人財」は会社に利益を生むということを信じて、積極的に新卒者採用や高齢者の再雇用を続けております。


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