「ユースエール認定企業」インタビュー

  • 製造業
  • 2017.12.25

日鉄住金工材株式会社

取締役総務部長 兼 建材部長 玉巻秀泰様



認定企業の事業内容
―御社の事業内容をお聞かせください。

当社は今年で70周年を迎えました。百年企業を目指しており、伏見稲荷大社の千本鳥居をイメージした「百年企業祈願鳥居」を建てて祈願しております。

当社の事業は大きく分けて、素材の分野と産業機器の分野と2通りあります。元々は素材の分野からスタートして、昭和50年代から電着ドラムに代表される産業機器製品に取り組んでまいりました。配管パイプ、ステンレスフラットバーなどが素材分野で、私どもは建材部門と呼んでいます。産業機器では電着ドラムが主力で、電解銅箔製造装置に使われます。


―主力商品についてご説明いただけますか。

電着ドラムは電解銅箔を製造するための装置に使われます。銅はプラスイオンですので、電着ドラムをマイナス極に帯電させると表面に付着します。その銅を連続的に剥ぎ取ることで銅箔になります。1962年より製造を始め、1972年からは世界に先駆けてチタン製ドラムを開発し、既に45年以上がたちました。

チタン製ドラムの実績は新作、捲き直しを合わせて3000基を超えており、日本国内でのシェアは100%、全世界の約70%のシェアを誇っています。歴史、実績、技術力とも世界一のドラムメーカーで、ユーザーより高い評価を頂いております。


―電解銅箔は主に何に使われますか。

銅箔の用途としては、プリント基板やリチウム電池があります。リチウム電池はスマートフォンや電気自動車に使用されますので、おかげさまでたくさんの受注をいただいて生産が追いつかない状態です。


―ほかにどんな商品がございますか。

ほかにも半導体製造工場、各種プラント等に使われる高圧チャンバー、蒸留搭、燃焼筒、タンク、チタン高圧配管など、素材も形状も大きさも機能もまるで違う産業機器製品を作っております。




ユースエール認定の取得理由
―ユースエール認定の取得理由をお聞かせください。

当社の経営理念は「人と技術を大切にする」というものです。たとえば「かがやきサイクル」として、①人・職場・会社がかがやく(人財育成)→ ②製品がかがやく(オンリーワン)→ ③顧客と地域がかがやく → ①… といった好循環を方針として掲げています。

社員が幸せになること、お客様に満足していただくこと、つまり「社員の幸せ・顧客満足度・生産性向上」の同時実現を目指して活動しています。

当社が目指す働き方(生き方)改革、「夢の実現を目指す働きやすく生産性の高い企業」という考え方と、ユースエールの考え方が合致すると考えたことから申請を行いました。


―取得につきまして、何か活動をされましたか。

ユースエールにつきましては、ハローワークからこういうものがあるということを教えていただきました。基準を満たしているかどうか調べることはしましたが、もともと当社は経営理念や方針にしたがって様々な取り組みを行っていましたので、取得に際して新たに活動をしたことはありません。


―若者雇用に関しまして、御社の基本姿勢をお教えください。

若者の雇用につきましては、当社は成長分野でありますから生産性を担保するため、また高度な技術の伝承を行うため、それらを意識して計画的な採用を行っています。




ユースエール認定取得の効果
―ユースエール認定取得による効果は何かありますか。

新潟県で3番目、上越市では初めての認定取得でしたので、ニュースバリューがあったようです。認定取得の記事を新聞等のメディアに取り上げていただきましたので、会社の知名度が高まりました。

また、労働局・ハローワーク主催の就活イベントでは「ユースエール」の認定取得を強調していただくなど、優遇していただきました。

ユースエール認定取得企業を表示していただき、当社ブースで残業・有給休暇取得実績や若手社員の教育手段等を強調しました。その結果「あの会社は若者を大切にする会社だ」「入ってからも一生懸命育ててくれる会社だ」というような評価をいただきました。


―具体的な効果はありましたか。

これは事実なのですが、2017年度の高校生会社説明会では採用予定数の約8倍、採用面接では採用予定数の約4倍の学生が応募してくれました。厳しい情勢にもかかわらず、たくさんの応募があったということは、採用活動における当社の働き方(生き方)改革の取り組みが、地元就職を希望する大学生・高校生、またそのご家族のみなさんに評価されたと思っています。ユースエール認定以外にも何か要素があったのかもしれませんが、ユースエール認定の効果は間違いなくあったと思います。


―社内的な効果はありましたか。

当社は「共同体感覚(お客様や会社・職場の貢献意識)」を全社員が共有していて、自分や会社の夢を語り合うドリームコンパなどを行っております。また「挑戦と成長対話」といって、職場の人間と社長が「挑戦・成長していきたいこと」についての対話を行っています。近未来の夢を実現するために相互理解・サポートを促進する土壌がかねてよりありました。

「ユースエール」の認定取得によって、社員一人ひとりが「やはりウチの会社は社員を大切にする素晴らしい会社だ」という認識がさらに醸成されました。それによって「ポジティブな意識」が高まり、積極的に改善やイノベーションに取り組むなどの意欲が、以前より増したように感じています。



雇用管理や人材育成
―雇用管理で注力していることはありますか。

労働時間管理につきましては、スタッフ部門と製造部門と別の取り組みを行っています。

スタッフ部門では部門ごとに業務管理ボードを作成、トヨタ方式として有名なアンドン方式で進捗を把握し、組織的な業務サポートを行っています。さらに毎月社長以下幹部全員がスタッフ全員分の残業を1時間単位で分析し、効率的に業務を推進して残業を削減しています。

製造部門ではあらかじめ7%の欠勤率を織り込み生産計画を作成しています。機会損失がなければ、年間17日分の有給休暇取得が可能です。その上で、残業時間を平準化する年間ローリング管理を実施しています。


―有給休暇や育児休業についてはいかがですか

有給休暇では、個人の記念日などに取得できるハッピー休暇や多目的休暇など独自の指定有給休暇制度を導入しています。通常の有給休暇と合わせて、年間15日以上の取得を目指しています。

育児休業についても取得しやすい環境づくりに取り組んでいます。特に男性社員が積極的に育児休業を取得できるように子どもの出生の際、労務担当者が社内制度をていねいに説明し、職場に理解・協力をお願いして取得を促しています。


―人材育成についてはいかがですか。

社内教育はカッツモデル(マネジメントに必要な能力をまとめた理論)を導入し、管理職・監督職・一般職の階層別到達目標を明確化しています。また、作業手順書(マニュアル)のビジュアル化や動画化、新人が困難に感じる作業の治具改善なども行っています。そのほかテレビ番組などを活用したプロフェッショナル学習等を通じて社員の人間力や力量向上に取り組んでいます。


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